英語力をキャリアに活かせる日本企業:バイリンガル人材に向いている職種とは

September 18, 2026 15:00

 

仕事で英語を活かしたいと考える日本人の中には、「外資系企業に転職する」か「海外で働く」しか選択肢がないと思っている方も少なくありません。

しかし、実際にはそのどちらも必須ではありません。

この2つだけに選択肢を絞ってしまうと、多くのバイリンガル人材が見落としている、もう一つの有力なキャリアの可能性を逃してしまうことがあります。

日本企業の中にも、事業の一部で英語を業務上の共通言語として使用している企業があります。こうしたポジションには、外資系企業では得にくいメリットがあります。

たとえば、すでに理解している企業文化や組織構造、キャリアパスの中で経験を積みながら、英語を使う仕事に挑戦できることです。転職して新しい職種に挑戦する場合のように、仕事内容だけでなく、企業文化や仕事の進め方まで一から適応する必要がありません。

本記事では、日本企業のどのような部門・職種で実際に英語が使われているのか、また、単に「英語力歓迎」としている企業と、実際に業務で英語を使用している企業をどのように見分けるのかを解説します。

さらに、日本にいながら国際的な仕事に携わることを前提に、社内異動と転職のどちらが自分にとって適切な次のステップなのかを考えていきます。

 

日本企業で実際に英語が使われている場所

日本企業で英語を使う仕事は、大きく3つの領域に分けられます。

求人を探す際に重要なのは、職種名だけを見るのではなく、そのポジションがどのような事業や部門に属しているのかを確認することです。

同じ職種名でも、所属する部門や業務内容によって、英語を使う頻度や求められる役割は大きく異なります。

 

商社

総合商社や専門商社では、海外との取引が事業の中核にあるため、日常的に英語を使用する機会があります。

たとえば、海外の仕入先や顧客とのやり取り、契約書の確認、国をまたぐ取引の調整など、さまざまな場面で英語が使われます。

そのため、肩書きに「Global」や「International」と付いていなくても、海外の取引先を担当する商社の社員の方が、実際には日々の業務で英語を頻繁に使っていることもあります。

 

海外拠点を持つメーカー

海外に工場や営業拠点、合弁会社などを持つメーカーでも、英語を使う機会は多くあります。

特に、品質管理、サプライチェーン、技術サポートなどの職種では、日本本社と海外拠点の間に入り、調整やコミュニケーションを担う人材が求められます。ただし、こうした求人は必ずしも「英語を使う仕事」と明記されているとは限りません。英語の使用が職種名ではなく、実際の業務内容の中に含まれているケースが多いためです。

そのため、求人を見る際には、職種名だけでなく、海外拠点との関わりや具体的な仕事内容まで確認することが重要です。

 

海外事業部

国内事業を中心とする日本企業でも、輸出や海外企業との提携、海外展開などを担当する海外事業部を設けている企業があります。

会社全体では日本語が中心でも、海外事業部では日常的に英語を使用しているケースもあります。

つまり、英語を使える環境かどうかは、企業単位ではなく、部署単位で見ることが大切です。同じ会社でも、ある部署ではほとんど英語を使わず、別の部署では英語を頻繁に使うということがあります。


本当に英語を使う企業を見分けるポイント

求人票に「英語歓迎」と書かれていても、実際にどの程度英語を使うのかは企業によって大きく異なります。本当に英語を使う環境かどうかを判断する際は、次のポイントを確認してみましょう。

・求人票の一部または全体が英語で書かれている

・海外売上や海外顧客の割合が一定程度ある。上場企業の場合は、IR資料などで確認できることがあります

・海外赴任、出向、定期的な海外出張など、国際的なキャリアパスが用意されている

・選考プロセスに英語面接などが含まれている


社内異動と転職、どちらを先に考えるべき?

英語を使う仕事に挑戦したいと思ったとき、すぐに転職活動を始める方も多いかもしれません。

しかし、現在の勤務先に少しでも海外事業や国際的な業務があるのであれば、まずは社内異動の可能性を確認する価値があります。一見すると国内中心の企業でも、海外事業部や海外拠点との連携を担うチームが存在することがあります。

社内異動のメリットは、すでに社内での実績や信頼があり、会社の文化や仕事の進め方も理解していることです。外部から転職する場合は、こうした信頼関係を一から築く必要があります。そのため、英語を使う部署への社内異動は、より「グローバル」に見える企業への転職よりも、リスクを抑えながらキャリアの幅を広げられる選択肢になることがあります。

一方、現在の会社に海外事業部や海外顧客、海外プロジェクトなどがほとんどない場合は、社内で機会が生まれるのを待つよりも、すでに国際的な環境が整っている企業への転職を検討した方が早いケースもあります。

たとえば、同じような経歴を持つ2人の候補者がいるとします。どちらも中堅の日本メーカーで5年間働き、高いTOEICスコアを持っていますが、仕事で英語を使った経験はありません。

1人目は「今の会社では英語を使う仕事はできない」と考え、すぐに転職活動を開始。4カ月間、より国際的な企業で働いてきた候補者たちと競いながら応募を続けます。

一方、2人目はまず自社の海外事業について調べます。すると、日本の工場と海外の合弁会社をつなぐ品質管理のポジションがあることを知り、社内応募します。

社内での実績がすでにあるため、採用担当者もその候補者の経験や評価を直接確認できます。どちらが正解というわけではありません。

ただし、2人目は最初から転職が必要だと決めつけず、社内の可能性を確認したことで、より早く、リスクを抑えて英語を使う仕事に挑戦できたということです。


こうした職種に向けて、自分をどのようにアピールするか

こうした職種で評価されるために重要なのは、英語力そのものだけではありません。

国際的なキャリアを築くうえでは、デジタル・AIツールを実務で活用した経験、部門や国をまたぐプロジェクトに関わった経験、そして英語力や資格について、単なる自己申告ではなく具体的な実績を示せることが重要です。

そのうえで、こうした経験を応募するポジションに合わせて、どのように伝えるかがポイントになります。

語学力だけでなく、海外拠点・顧客・サプライヤーとの調整経験を具体的に伝える

正式な海外担当の経験でなくても構いません。国をまたぐコミュニケーション上の課題を解決した経験や、時差のあるチーム間で業務を調整した具体例の方が、「英語が得意です」と伝えるだけよりも、実際の業務で英語を使えることを示しやすくなります。 

まだ英語を使う仕事の経験がない場合は、まず社内異動の可能性を確認する

すぐに転職が必要だと考えるのではなく、海外事業部など、英語を使う部署への社内異動の機会がないか確認してみましょう。 

応募前に、企業の海外事業について調べておく

海外売上比率や最近の海外展開などを確認しておくことで、その企業への関心を具体的に示せます。また、「なぜその企業・ポジションで働きたいのか」をより具体的に説明しやすくなります。

 

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よくある質問

日本で英語を使って働くには、外資系企業に転職する必要がありますか?

いいえ。商社や海外拠点を持つメーカー、海外事業部を設けている日本企業など、特定の職種で英語を日常的に使用している企業は多くあります。外資系企業への転職だけが、英語を仕事で活かす方法ではありません。

 

求人票の英語要件が、本当に業務で必要なのかどうかはどう見分ければよいですか?

次のようなポイントを確認してみましょう。

  • 求人票の一部または全体が英語で書かれている 

  • 海外売上や海外顧客の割合が一定程度ある 

  • 海外赴任や出向などにつながるキャリアパスがある 

  • 選考プロセスに英語面接が含まれている 

一方、日本語の求人票の中に「英語歓迎」とだけ書かれている場合は、実際の業務で英語を使う頻度が高いとは限りません。

 

社内異動と転職、どちらを先に検討すべきですか?

まずは、現在の会社に海外事業部や海外顧客、海外プロジェクトなどがあるかを確認してみましょう。

社内に英語を使うポジションがある場合は、すでに築いてきた実績や信頼を活かせるため、転職よりもリスクを抑えて新しいキャリアに挑戦できる可能性があります。

一方で、現在の会社に国際的な業務がほとんどない場合は、英語を使える環境が整った企業への転職を検討した方が早いケースもあります。

 

英語力はありますが、仕事で英語を使った経験がありません。それでも応募できますか?

海外拠点や海外顧客とのやり取りなど、業務の一部でも英語を使った経験があれば、積極的にアピールしましょう。

正式な海外担当の経験がなくても、海外との調整やコミュニケーションを行った経験は、関連する実務経験として評価される可能性があります。

また、すぐに転職を考えるのではなく、現在の会社に英語を使える部署への社内異動の機会がないか確認してみるのも一つの方法です。

 

英語を日常的に使える日本企業は、商社だけですか?

いいえ。海外に工場や合弁会社を持つメーカーや、海外事業部を持つ企業でも英語を使用する機会があります。特に、品質管理、サプライチェーン、技術サポート、海外企業との提携などの業務では、海外拠点とのやり取りで英語を日常的に使うケースがあります。

 

英語が流暢であれば、こうした職種で評価されますか?

英語力は重要ですが、英語ができることだけで他の候補者との差がつくとは限りません。

企業が重視しているのは、英語力に加えて、海外拠点や海外顧客との調整経験など、実際の業務でそのスキルをどのように活かしてきたかという点です。

「英語が得意」と伝えるだけでなく、実際の経験や成果を具体的に示すことが重要です。




著者について

Valerie Ong(ヴァレリー・オン) / Reeracoen Group Regional Head of Marketing

アジア全域におけるReeracoenのコンテンツおよびマーケットインサイトを統括。Reeracoenの採用コンサルタントと連携し、採用データ、給与ベンチマーク、労働市場の動向を、企業や求職者が実際の意思決定に活用できる情報へと落とし込んでいます。Salary Guide、Hiring Pulse、Hiring Manager Surveyなど、Reeracoen独自の調査も活用しています。


参考文献

本記事は、特定の単一調査ではなく、日本およびアジア地域のバイリンガル人材市場におけるReeracoenの採用支援経験や、コンサルタントの知見をもとに作成しています。海外売上比率など、個別企業に関する情報については、各社が公開している最新情報をご確認ください。

 

免責事項

本記事は、公開時点におけるReeracoenの採用支援経験および日本の採用市場に関する一般的な情報をもとに作成しています。

本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、特定の企業や職種に関する個別のキャリア・専門的なアドバイスを提供するものではありません。

キャリアに関する重要な判断を行う際は、各企業が公開している最新情報などをご確認ください。