【2027年採用】グローバル志向の日本人人材を獲得するために、企業が今すぐ進めるべき採用準備とは?

JETROが2025年11〜12月に実施した調査から、海外事業に取り組む日本企業の多くが、グローバル人材の確保に課題を抱えている実態が明らかになりました。
人材の確保状況については、回答した3,063社のうち、85.2%が必要な人員を十分に確保できていないと回答。
さらに、人材の能力や適性についても、88.9%が「十分ではない」または「期待を下回る」と回答しており、人材の「量」と「質」の両面で課題が浮き彫りになっています。
なお、本調査はJETROの会員企業やサービス利用企業などを対象に実施されたもので、有効回答3,369社のうち87.4%を中小企業が占めています。
こうした状況を踏まえ、2027年に向けてグローバル人材の採用を検討する企業には、欠員が生じてから対応するのではなく、早い段階から採用戦略を立て、計画的に準備を進めることが求められます。
本記事では、グローバル人材の確保に向けて、企業が今から取り組むべきポイントを解説します。
要点
2027年に向けて、海外事業で活躍できる人材を採用するためには、今から次の4つの準備を進めることが重要です。
-
求める人材像の明確化: 各職種で必要な語学力や海外との業務内容を具体的にする。
-
採用対象の選定: どのような経験やスキルを持つ人材を採用するか決める。
-
採用スケジュールの策定: 2027年の採用計画を立てる。
-
実務能力の評価: 語学試験の点数や留学経験だけでなく、実際の業務を想定した課題で適性を判断する。
主なデータ
■ 海外事業を担う人材の不足を感じている企業は約9割
JETROが2025年11〜12月に実施した調査では、海外事業に必要な人員について、回答企業3,063社のうち85.2%が人材不足と回答しました。また、88.9%が人材の能力や適性についても不足を感じていることが分かりました。
この調査は海外事業に関心の高い日本企業を対象としており、有効回答3,369社のうち87.4%が中小企業でした。
■ 海外で暮らす日本人は約130万人
外務省によると、2025年10月1日時点の海外在留邦人数は129万8,170人で、前年の129万3,097人とほぼ同水準でした。
なお、この数字には海外で働く人だけでなく、留学生や家族など、海外に居住する日本国籍者全体が含まれています。
■ 日本の大学生などの海外留学者数は約9.1万人
JASSOによると、2024年度に海外留学を開始した日本の大学などの学生は9万1,054人で、前年度から2.1%増加しました。
そのうち66.2%は留学期間が1か月未満であり、留学経験の内容や期間には違いがあることが分かります。
※ 割合はJASSOのデータを基にReeracoenが算出。
■ 2027年度卒業予定者の採用スケジュール
政府は、2027年度(2027年4月〜2028年3月)に卒業・修了する学生の採用活動について、企業団体などに以下のスケジュールを要請しています。
2027年3月1日: 採用に関する広報活動の開始
2027年6月1日: 採用選考活動の開始
2027年10月1日: 正式な内定の開始
※ これらは政府による要請であり、法律で一律に義務付けられた日程ではありません。(内閣官房)
「グローバル人材」を抽象的な言葉ではなく、業務内容で定義する
「グローバル人材」は日本の採用現場で広く使われていますが、企業共通の定義があるわけではありません。
求人票では「国際感覚がある」「柔軟性がある」「英語が話せる」といった表現に頼りがちです。
こうした言葉は応募者の関心を集めても、実際に業務を遂行できる人材かどうかの判断材料にはなりません。
代わりに、担当者が実際に何をするのかを具体的に示しましょう。
-
言語の使用:何語を、誰と、どのくらいの頻度で使うのか。例:シンガポールの営業チームと週1回、英語でオンライン会議を行う。
-
意思決定の範囲:海外の関係者との間で自ら判断・交渉する事項と、調整のみを担当する事項を区別する。
-
業務環境:どの国・文化・タイムゾーンのメンバーと仕事をするのか。
-
必要な経験:海外での居住・勤務経験が必須なのか、日本から海外チームと協働した経験や、多国籍チームでの勤務経験でもよいのか。
-
働き方:日本を拠点に海外と定期的に協働するのか、海外駐在なのか、出張を伴う地域統括職なのか、国境を越えたリモート勤務なのか。
職務内容を明確にすることで、ミスマッチのある応募を減らし、選考時の評価もしやすくなります。
採用対象とする人材層を決める
海外事業で活躍できる日本人の人材にも、さまざまな経験や経歴を持つ人がいます。
それぞれの人材層に合った採用方法を検討することが重要です。
|
人材層 |
特徴と準備のポイント |
|
国内の中途採用候補者 |
海外サプライヤーの管理や地域横断プロジェクトなど、日本国内から海外業務に携わった経験を持つ人もいます。履歴書に海外駐在歴がなくても、具体的な経験を確認しましょう。 |
|
海外在住の日本人ビジネスパーソン |
海外在留邦人は約130万人ですが、就労していない人や転職を希望していない人も含みます。日本勤務だけでなく、海外勤務・地域統括職・リモート勤務も選択肢に入れ、転居が必要なら採用期間に余裕を持たせましょう。 |
|
留学経験のある学生・卒業生 |
留学の期間や内容はさまざまで、短期プログラムでも得られるものがあります。期間の長さではなく、何を経験し学んだか、職務に必要な能力があるかを確認しましょう。 |
|
自社の海外拠点で働く人材 |
社外採用よりも社内異動の方が早い場合があります。海外拠点に、より広い役割を担える日本人社員や日本語対応が可能な社員がいないか確認しましょう。 |
|
日本への帰国を予定している人材 |
海外勤務を経て帰国する人材は、現地市場での実務経験を持っている場合があります。その経験が募集職種にどう役立つかを評価しましょう。 |
|
国籍を問わないバイリンガル人材 |
国籍よりも日本語力やビジネススキルが重要な職種もあります。必要な言語レベルを明確にし、条件を満たす人材を幅広く検討しましょう。 |
2027年の採用スケジュールを今から計画する
求人を公開する前に、次の時期や手続きを確認しておきましょう。
-
予算・採用枠の承認:4月開始の会計年度を採用している企業では、今から2027年3月までの意思決定が、翌年度に募集できるグローバル関連職種を左右することがあります。予算と職位・等級を早めに確定しましょう。
-
新卒採用:2027年度卒業・修了予定者(2027年4月〜2028年3月)について、政府は企業団体等に対し、広報活動を2027年3月1日、採用選考を6月1日、正式な内定を10月1日から開始するよう要請しています。留学から帰国する学生は参加可能な時期が異なるため、選考への参加方法も検討しましょう。
-
国内の中途採用候補者:退職までの期間や賞与支給日によって入社可能日が変わることがあります。内定後ではなく、募集計画の段階で現実的な入社時期を設定しましょう。
-
海外在住の候補者:転居や、必要に応じたビザ・就労許可の手続きには時間がかかります。入社日を決める前に、その期間を織り込んでおきましょう。
実務に近い課題でグローバル業務への適性を評価する
語学試験の点数や海外経験は参考になりますが、それだけでは募集職種でどのように活躍できるかは分かりません。公平な評価には、複数の方法を組み合わせることが大切です。
-
試験スコアは判断材料の一つにする:英語力の目安にはなりますが、海外の同僚との難しい会話にどう対応するかまでは分かりません。
-
短い実務課題を設ける:例えば日本語資料を英語のメールで海外チーム向けに要約してもらう、短いプロジェクト会議をロールプレイしてもらう、といった方法が考えられます。
-
具体的な経験を聞く:過去の国際プロジェクトで何がうまくいかず、その後どのような改善を行ったかを確認しましょう。
-
全候補者に同じ質問と評価基準を用いる:可能であれば海外チームのメンバーも面接に参加してもらいましょう。
求人票だけでなく、受け入れる組織も整える
優秀な候補者ほど、入社後の働き方を具体的に確認しようとします。採用を始める前に、直属の上司は誰か、どこまで意思決定できるか、日本本社と海外チームでどのように業務を分担するかを社内で合意しておきましょう。
また、国際的な経験が社内でどのようなキャリア形成につながるのか説明できるようにすることも重要です。特に海外の同僚と密接に協働する職種では、勤務地や担当市場の給与水準も踏まえて報酬を検討しましょう。
準備スケジュールの例
|
時期 |
準備すること |
|
2026年11〜12月 |
グローバル関連職種を具体的な業務で定義する。予算と採用枠を確認し、評価方法を決める。 |
|
2027年1〜2月 |
日本語・英語の求人票を完成させる。面接官に評価方針を共有し、中途採用候補者の情報収集を始める。 |
|
2027年3月以降 |
政府が要請する日程に沿って新卒採用の広報活動を開始する。中途採用では現実的な入社日を見据えて選考を進める。 |
まとめ
JETROの調査によると、海外事業に関心の高い日本企業の多くが、海外事業を担う人材の確保に課題を抱えています。
2027年の採用に向けては、求める人材像を明確にし、採用対象を見極め、スケジュールを立て、実務に即した評価方法を整えることが重要です。
欠員が生じてから動き出すのではなく、今から準備を進めましょう。
2027年に向けたグローバル人材の採用をお考えですか?
Reeracoen Japanでは、グローバル人材に求める役割の明確化から、日本国内やアジア各国で活躍する日本人プロフェッショナルのご紹介、実務に即した選考方法の検討まで、企業の採用活動を支援しています。
2027年、グローバルなキャリアに挑戦してみませんか?
これまで培ってきた経験やスキルを活かし、海外と関わる仕事に挑戦してみませんか?
Reeracoen Japanでは、日本国内はもちろん、アジア各国の求人も幅広くご紹介しています。グローバルな環境でのキャリアアップを目指す方に向けて、専任のコンサルタントが一人ひとりの希望や経験に寄り添い、次のキャリアステップをサポートします。
よくある質問(FAQ)
日本の採用における「グローバル人材」とは何ですか?
すべての企業に共通する定義はありません。一般的には、言語や文化、国境を越えて円滑に仕事を進められる人材を指します。募集する職種ごとに、使用言語、関係者、海外との意思決定の内容など、具体的な業務を基に定義することが有効です。
英語試験のスコアだけで候補者の英語力を評価できますか?
スコアは一定の目安になりますが、実際の業務でのコミュニケーション力までは示しません。海外の同僚へのメール作成や模擬会議など、短い実務課題と組み合わせて判断しましょう。
2027年度卒業・修了予定者の新卒採用はいつ始まりますか?
2027年度卒業・修了予定者(2027年4月〜2028年3月)について、政府は企業団体等に対し、採用広報活動を2027年3月1日、採用選考を6月1日、正式な内定を10月1日から開始するよう要請しています。法的な一律の義務ではなく政府による「要請」なので、計画時には内閣官房の最新案内を確認してください。
国際経験のある日本人材はどこで探せますか?
海外チームと協働する国内の中途採用候補者、海外在住の日本人ビジネスパーソン、帰国予定者、留学経験のある卒業生、国籍を問わないバイリンガル人材、自社の海外拠点で働く社員などが候補です。人材層ごとに採用方法や必要期間は異なります。
グローバル人材は外部採用すべきですか、それとも社内で育成すべきですか?
どちらにも利点があります。外部採用では社内にない経験を補えます。一方、社内育成はすでに自社事業を理解している社員の力を伸ばせます。職務の緊急度などに応じて、両方を組み合わせる企業もあります。
関連記事
著者について
Valerie Ong(ヴァレリー・オン) / Reeracoen Group Regional Head of Marketing
Valerieは、Reeracoenのアジア地域全体におけるコンテンツ制作と市場インサイトを統括しています。専門分野に精通した同社の採用コンサルタントと連携し、採用データ、給与ベンチマーク、労働市場の動向を、日本をはじめとするアジアの企業やビジネスパーソンに役立つ実践的な情報として発信しています。年間給与ガイド、Hiring Pulse、Hiring Manager Surveyなど、Reeracoen独自の調査結果も活用しています。
言語に関する注記:本記事は英語で執筆されたものです。日本語版は、日本の企業およびビジネスパーソン向けにReeracoen Japanが公開しています。
参考文献
1. JETRO「2025年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(第24回)」速報版(2026年2月12日)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/2026/fb2468413e5d19f0/survey_v3.pdf
2. JETRO「2025年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」プレスリリース(2026年2月12日)
https://www.jetro.go.jp/news/releases/2026/fb2468413e5d19f0.html
3. 外務省「海外在留邦人数調査統計」2025年10月1日現在(2025年12月25日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_03172.html
4. 日本学生支援機構(JASSO)「2024年度 日本人学生の海外留学状況」プレスリリース(2026年5月29日)
https://www.jasso.go.jp/about/press/jp2026052901.html
5. JASSO「2024年度 日本人学生の海外留学状況」データ表
https://www.studyinjapan.go.jp/ja/_mt/2026/05/data2024n.pdf
6. 内閣官房「卒業・修了予定者の就職・採用活動に関する要請」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_katsudou_yousei/index.html
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律上または専門的な助言を行うものではありません。調査結果は記載した回答者・市場・調査期間に基づくもので、すべての企業に当てはまるとは限りません。政府が示す採用日程は企業等への要請であり、変更される可能性があります。意思決定に当たっては、必ず最新の公式情報をご確認ください。掲載情報は公開日時点のものです。




