日本の人手不足が変える働き方:企業が注目すべきポイント

October 28, 2026 09:00

日本の人手不足は長年にわたって議論されており、もはや目新しい話題ではありません。しかし、広く認識されている一方で、その状況を具体的な人員計画に十分反映できていない企業もあります。

厚生労働省によると、日本で働く外国人は2025年10月時点で初めて250万人を超え、前年から11.7%増加しました。これは、人手不足が解消に向かっていることを示すものではありません。不足を補う労働力の構成が変化していることを示しており、企業側もその変化を踏まえて採用・人員計画を考える必要があります。

本記事では、厚生労働省(MHLW)が公表した最新データをもとに、日本の労働市場で今何が起きているのか、そして企業が今後注目すべきポイントを整理します。

 

最新データが示す日本の労働市場

厚生労働省の一般職業紹介状況によると、労働市場の需給状況を示す代表的な指標である有効求人倍率は、2026年5月時点で全国1.17倍でした。

2025年度の平均は1.20倍で、前年度から0.05ポイント低下しています。一方、2026年5月は前月比で有効求人数が0.3%、有効求職者数が0.7%それぞれ増加しました。有効求人倍率はやや低下しているものの、過去の水準と比べても人材確保が難しい状況は続いています。

もう一つの関連する動きは、日本で働く外国人の増加です。厚生労働省が2026年1月30日に公表したデータによると、2025年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人で、前年から268,450人、11.7%増加しました。

2008年に届出制度が始まって以降、過去最多です。増加率が10%を超えるのは3年連続で、前年の12.4%からはやや鈍化したものの、高い伸びが続いています。

 

この数字をどう見るべきか

全国の数値は労働市場全体を把握するうえで有用ですが、人手不足の程度は職種、業界、地域によって大きく異なります。そのため、企業は全国の傾向だけでなく、自社が属する業界や採用市場の状況とあわせて見る必要があります。

また、外国人労働者の増加は、人口構造の変化に対して日本の労働市場が適応している一つの動きですが、同時に自動化や職務設計の見直しなど、今回のデータだけでは把握できない変化も進んでいます。

これらの数字は、人員計画を考えるための重要な背景情報として捉えるべきであり、すべての採用難を一つの要因だけで説明するものではありません。

 

企業が押さえるべきポイント

採用が難しい職種・業界では、採用計画に余裕を持たせる。

人材確保が難しい状況が続く職種や業界では、これまでと同じ期間で採用できるとは限りません。

採用難が予想されるポジションについては、あらかじめ採用期間に余裕を持たせて計画することが考えられます。

 

報酬水準は、年1回だけでなく必要に応じて見直す。

一部の業界では候補者の選択肢が増えており、年1回の見直しだけでは、その間の市場変化に追いつかない可能性があります。

Reeracoenの地域調査でも、関連する動きが見られます。Reeracoen Taiwanの「Taiwan Employer Outlook Report 2026」では、調査対象となった台湾の日系企業における採用の多くが、事業の純増ではなく退職者の補充を目的としていました。

台湾は日本とは異なる市場ですが、海外拠点における人材定着や欠員補充の負荷を考えるうえで、地域比較として参考になる結果です。

 

国際人材・バイリンガル人材の採用・受入れ体制が、より多くの企業にとって重要になっている。

日本で働く外国人が250万人を超え、2桁の増加率が続くなか、国際人材やバイリンガル人材を採用し、受け入れ、定着につなげる体制づくりは、より多くの日本企業にとって重要なテーマになっています。同時に、既存の国内人材の育成やリスキリングへの継続的な投資も必要です。

 

人員数だけでなく、職務設計もあわせて見直す。

すべての欠員を直接採用だけで補うことが難しい場合、どのポジションで本当に増員が必要なのか、既存社員のリスキリングや役割分担の見直しで対応できる部分はないかを検討することも重要です。

これは採用の重要性が下がっているという意味ではなく、採用とあわせて考えるべき人員計画の一つです。職種ごとに状況を見ながら判断する必要があります。

 

今後注目したいデータ

厚生労働省は「一般職業紹介状況」を毎月公表し、「外国人雇用状況」の届出状況を毎年1月に公表しています。人材確保が難しい業界に関わる企業や、国際人材・バイリンガル人材の採用を人員戦略に取り入れている企業にとっては、こうしたデータを継続的に確認することが有用です。

全国の総数だけでなく、業界別・地域別の詳細を見ることで、より具体的な採用計画の判断材料を得られます。

 

よくある質問

2026年、日本の人手不足は改善していますか、それとも悪化していますか? 

全国の有効求人倍率は、2025年度平均の1.20倍から2026年5月の1.17倍へとやや低下しています。一方、厚生労働省のデータでは有効求人数・有効求職者数の双方が前月から小幅に増加しています。また、人手不足の程度は職種や業界によって大きく異なるため、日本全体で一様に改善・悪化していると捉えることはできません。

 

現在、日本では何人の外国人が働いていますか? 

厚生労働省が2026年1月30日に公表したデータによると、2025年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人です。前年から11.7%増加し、2008年に届出制度が始まって以降、過去最多となりました。

 

有効求人倍率が下がっているなら、企業は採用難をそれほど心配しなくてもよいのでしょうか?

 必ずしもそうとは言えません。厚生労働省のデータだけから、そのような結論を出すこともできません。有効求人倍率は複数の要因によって変動し、人手不足の程度も職種や業界によって大きく異なります。全国の数値だけでなく、自社の業界や採用市場に関連するデータを確認することが重要です。

 

人手不足への対応として、人員を減らして自動化を進めるべきでしょうか? 

一律にそう考えるべきではありません。Reeracoenでは、必要なスキルを補うための採用、既存社員のリスキリング、職務設計の見直しを組み合わせて検討することをおすすめしています。自動化を人員計画の代わりとして捉えるのではなく、それぞれの役割や課題に応じて判断することが大切です。

 

採用・人員計画についてご相談ください

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Reeracoenでは、構造的な人手不足が続く日本の労働市場において、企業の採用・人員計画を支援しています。国際人材・バイリンガル人材の採用や定着体制の構築についてもご相談いただけます。
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著者について

Valerie Ong(ヴァレリー・オン)/ Reeracoen Group Regional Head of Marketing

Valerieは、Reeracoen Groupのアジア全域におけるコンテンツ制作と市場分析を統括しています。Reeracoenの各分野に精通した採用コンサルタントと緊密に連携しながら、採用やオンボーディングに関する知見を、日本でチームを構築する海外企業が活用できる実践的な情報として発信しています。

 

翻訳について

本記事は、Reeracoen Japan向けに英語で作成された原文をもとに、日本語向けにローカライズしています。

 

参考資料

・厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分及び令和7年度分)について」(2026年6月30日公表)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74004.html

・厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2026年1月30日公表)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html

・Reeracoen Taiwan「Taiwan Employer Outlook Report 2026(15th Edition)」(2026年5月公表)
※比較のために引用したReeracoen独自調査であり、日本のデータの出典ではありません。